情報検証研究所のブログ

オンラインサロン「ファクトチェック機関「情報検証研究所」」の活動や検証報告を公開します。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「情報検証研究所」について

1、背景 いわゆるフェイクニュース、ないし誤情報の拡散が問題になっています。 1)問題は古くからあります。個人・企業・地域などに甚大な被害が生じた事案も少なくありません。 〇「所沢ダイオキシン報道」(1999年)では、テレビニュースで、所沢産の野…

「陽性率7%以上になると死亡者数が激増」は本当か? (査読前論文について)

PCR検査を巡り、「陽性率7%以上になると死亡者数が激増」との論文がテレビの報道・情報番組で盛んに報じられている。「PCR検査数を増やすべきことの明白な根拠」、「陽性率が40%近い東京都は危険」といった文脈だ。 だが、この査読前論文については、公開さ…

「陽性率7%で死亡者激増」は本当? 【日本 陽性率推移の検証】

PCR陽性人数をPCR検査人数で割って陽性率としておりますが、この数値が話題になり始めました。 この数値が最近上昇しており、「実際の感染は広がっていて検査が追い付いていない」または「陽性率が上昇すると7%を境にして、死亡者数が激増する。陽性率と死…

「東京都の陽性率は39.4%」?

26日朝のサンデーモーニングで「東京都の陽性率は39.4%」との話がなされていました。 すでに指摘・訂正されている山中伸哉教授と同じ間違いでないか(鈴木邦和都議ブログ参照)と思って確認してみるに、元ネタは厚労省ホームページ? たしかに「39.4%」(25…

【読み方に注意が必要な記事の検証】 ~感染者が次々に誤断を積み上げて行くケーススタディ~ ~ステルスマーケティングの可能性も感じる記事~

4月23・24日と連続で、「論座RONZA」という朝日新聞系のウェブサイトに、次のような記事が連続掲載されました。記事の筆者は政権に批判的な姿勢の朝日系ベテラン・ジャーナリストです。一連の体験を「武勇伝」のように記述しています。一見、事実を冷静に陳…

感染者数「5月に150万人超え」? フェイク予測をばらまいてはいけない

現代ビジネスの4月20日付記事『衝撃予測!日本のコロナ感染「5月に150万人超え」「あと3年は続く」』(奥野修司)は、タイトルからして衝撃的だ。感染者数1.1万人(4月20日)から、わずか一か月ほどで150万人に急増するというのだから、尋常ではない。記事本…

【4/21時点の新規感染者は減速の兆し】

厚労省発表の報道資料によれば、PCR陽性確認者は 4/18 9,795人前日比+628人 4/19 10,361人前日比+566人 4/20 10,751人前日比+390人 4/21 11,119人前日比+368人 となりました。(※厚労省は集計を一部補正した) 総数は増加中ですが、前日比が3日連続で減少しま…

【データから読む、新型コロナ現象の実像】

(日々感染症に対処している医療従事者・医療スタッフの皆様には心より感謝申し上げます。また、現在苦しんでいる患者の皆様の快癒を心より祈っております。この事態の鎮静化にお役に立つことを目的としてこの論考を提出致します。) ◆はじめに イタリアは3…

【ロックダウンの効果とタイムラグの検証(4/15)】~イタリアは沈静化に成功しつつある~

極めて深刻な医療崩壊を起こして多くの死亡者が発生したイタリアですが、3月8日以降一部地域を、その2日後の10日から全土でロックダウンを実施しました。その結果、14日後の21日に新規感染者数がピークの4,821人となり、それ以降日々の変動はありますが明確…

【日本は医療崩壊を防げるか】 ~独・伊との比較から日本の防衛ラインと緊急事態宣言のタイミングを検証する~

同じ地域で緊密な関係を持つユーロ圏のイタリアとドイツですが、イタリアは“医療崩壊”を起こしたのに対して、ドイツは“医療崩壊”を起こしていません。この差は一体何なのでしょうか。 ◆なぜイタリアとドイツの明暗が分かれたのか? 結論から述べると、ICUの…

【仮説:新規感染者数は新規死者数の先行指数】 ~イタリアでは新規感染者数と8日後の死者数に強い相関がある~

イタリアにおける2月24日以降の(1日当たり)新規感染者数の推移と、その8日後(3月3日)以降の(一日当たり)新規死者数の推移グラフを作成しました。 ◆ イタリアのCOVID-19新規感染者と8日後新規死者推移 (添付のグラフをご覧ください。) ※ 横軸は経過…

結局、海外の「ロックダウン」とは何が違うのか?

安倍首相は7日の緊急事態制限発出に際し、「人と人の接触を7割から8割削減」と強調した。一方で、海外でなされている「ロックダウンではない」ことも強調した。 「ロックダウンではない」とはどういうことなのか。安倍首相は会見で、海外との違いとして、1…

「ロックダウン」の手法(ニューヨーク、ロンドン、パリ)

【ニューヨーク】 ▼強制措置を伴う外出制限 知事令で22日から原則100%の在宅勤務を義務付け。企業が従わず、従業員に深刻な身体的危害を招く場合、最大1万ドル(約109万円)の罰金。出勤できるのは、医療や公共交通機関など生活に不可欠な業種に限られる。 感…

事実も記述次第でフェイク的に~イタリア新規死者数は沈静化傾向~

事実も報じ方で現実と乖離したフェイク的な情報になり得ると感じております。 メディアは、より刺激的な情報で危機を煽ります。そのため、収束方向の情報は余り報道されません。沈静化の兆しを見せ始めたイタリアですが、日々の変動を素材として「再び増加し…

先週のフェイクニュース選(2020.3.29-4.3)

1、「4/1からロックダウン」(ネット情報) 3月末、ネット上で以下の情報が出回った。 「今晩 or 明日の晩に安倍総理の緊急会見があり、4/1からロックダウンという発表があるとのことです。期間は二週間~三週間で長引く可能性があるのでは...という見立て…

オンライン診療を巡る二つの間違い

新型コロナに対応してオンライン診療をどこまで認めるか、政府・与党で議論されている。とりわけ焦点は、初診のオンライン診療を認めるかどうかだ。 報道をみると、「初診解禁」との見出しが躍ったかと思えば、やはり違うとなったり、混乱して分かりづらい。…

デマ情報を招いた政府広報の不備

3月末からネット上で「感染者の3分の1は外国籍」と示すグラフが飛び交った。間違いであることがバズフィードの検証記事で明らかにされた。 https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/unknown-cause-china-21 これは、間違い情報を発信した人たち以上に、厚生…