結局、海外の「ロックダウン」とは何が違うのか?
安倍首相は7日の緊急事態制限発出に際し、「人と人の接触を7割から8割削減」と強調した。一方で、海外でなされている「ロックダウンではない」ことも強調した。
「ロックダウンではない」とはどういうことなのか。安倍首相は会見で、海外との違いとして、1)公共交通機関は運航されること、2)道路を封鎖しないこと、の2点を挙げた。
(参考)安倍首相会見(4月7日)抜粋
今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くありません。そのことは明確に申し上げます。今後も電車やバスなどの公共交通機関は運行されます。道路を封鎖することなど決してありませんし、そうした必要も全くないというのが専門家の皆さんの意見です。海外では、都市封鎖に当たり、多くの人が都市を抜け出し、大混乱と感染の拡大につながったところもあります。
だが、この説明は的が外れている
ニューヨーク・ロンドン・パリでの措置を、報道などに基づき整理すると、
・公共交通機関は、いずれも運行されている。本数を減らしているに過ぎない。
・また、道路封鎖は確認できない。
こうした例は中国などではみられたが、少なくとも主要都市に共通した措置ではない。
むしろ、異なるのは、
・罰則を伴う外出制限、
・罰則を伴う飲食店などの営業停止、
の有無だ。
上記3都市ではいずれも、罰則を伴う措置。日本ではあくまで「要請」だ。
また、海外3都市ではいずれも、飲食店は営業停止対象(テイクアウトは除く場合あり)。これに対し、東京都では、10日に発表された休業要請対象はバー・ナイトクラブなどに限られ、一般の飲食店は含まれない。居酒屋を含め、営業時間短縮にとどまった。
的外れな説明を敢えてした理由は、推測できないでもない。
「ロックダウンではない」を強調したのはおそらく、「東京脱出」が増え、日本中に感染が拡大する事態を危惧したためだ。これは上記の首相会見にも垣間見える。このため、「ニュースなどで報じられる欧米諸都市のようにはならない」と伝える必要があったのだろう。一方で、「8割削減」のため、「罰則がない」をわざわざ強調するのは避けたく、それで「道路封鎖」などを持ち出したのでないか。
わからないではないが、メッセージは正しく率直に伝えたほうがよいように思う。
<「ロックダウン」との違いは何か?>
|
東京 |
ニューヨーク |
ロンドン |
パリ |
都市外との移動制限(道路封鎖など) |
× |
? |
? |
? |
公共交通機関の運行制限 |
× |
△(地下鉄本数減) |
△(地下鉄本数減) |
△(地下鉄等本数減) |
罰則を伴う外出禁止 |
×(要請) |
〇 |
〇 |
〇 |
罰則を伴う営業停止 |
×(バー・ナイトクラブなどで要請) |
〇(飲食店など) |
〇(飲食店など) |
〇(飲食店など) |
営業停止に伴う補償 |
〇(事業者に50~100万円) ※このほか、中小企業・小規模事業者向け200/100万円給付など |
×? ※このほか、中小企業向け融資など |
〇(労働者に月2500ポンド) |
〇(労働者に給与70%、小規模事業者に1500ユーロなど) |
<詳細および出典>
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