情報検証研究所のブログ

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「陽性率7%で死亡者激増」は本当? 【日本 陽性率推移の検証】

PCR陽性人数をPCR検査人数で割って陽性率としておりますが、この数値が話題になり始めました。

この数値が最近上昇しており、「実際の感染は広がっていて検査が追い付いていない」または「陽性率が上昇すると7%を境にして、死亡者数が激増する。陽性率と死亡者数には相関関係がある。」と言われていますが本当でしょうか?

日本の陽性率について検証しました。

◆ 陽性率の計算について

(陽性率)=(PCR陽性人数)÷(PCR検査人数)の百分率という単純な計算ですが、集計報告ベースの数値で計算すると、実際の発生日と計上日にずれが出て、日々のブレが大きい傾向があります。そこで、両方の数値を「7日移動平均」と「週間累計値」の2つで計算しました。その推移が添付グラフです。

 

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◆確かに3月から4月にかけて陽性率は上昇している

5%前後から10%前後まで、陽性率はほぼ2倍になりました。これには少なくとも2つの要因が考えられそうです。

要因1:潜在的な感染者の増大
実際に感染が広がっていて、日本社会における未確認(無症状・有症状自宅待機)感染者数の存在割合が上昇している可能性があります。

要因2:検査前診断精度の向上
COVID-19の症状など諸情報が徐々に増え、また診察件数が上がることで実際の医療現場でPCR検査が必要であるとの診断の正確さが上昇している可能性もあるでしょう。

ただし、詳細な上昇要因については、厚生労働省など公の機関による分析を待ちたいと考えます。

 

◆陽性率について検証まとめ(4/25現在)

1. 陽性率は3月から4月にかけて約5%から10%へと、2倍になった。
2. 死亡者急増ラインと言われる「7%」は3月29日に超えた。
3. 7%を超えてから4月25日までで1か月弱が経過したが、日本の死者は52人から334人へと6倍になっただけであった。7%を超えたという事実だけを論拠としてイギリス(:335人が1か月で約2万人になった)と比べるのは、論理の飛躍が大きい。ただし今後の変化の可能性を否定もしない。
4. 陽性率の最新の値は、低下の兆しを示している。

 

【文責:田村和広】

 

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