【検証アップデート：日本のCOVID-19流行状況11月30日】～第3波は成熟し、重症者と死亡者が増加するステージに～

前回（22日）のアップデートでは、下記の通り、1週間の動きを予測しました。

「来週土曜日まで新規陽性者数も3,000人（≒1,442人×2）前後まで伸びる可能性は十分あります。仮に、検査数が倍増した原因が、実態として「真の感染者が倍増している」ことだとすれば、火曜日から水曜日にかけて一旦伸び悩んだ（減少した）後、土曜日にかけて増加するような周期を描くでしょう。」

実際には、水曜日に1,471人まで減少した後、土曜日に2,585人まで増加し、また月曜日に低下しました。曜日周期はほぼ予測通りでしたが新規陽性者数の最大値を「3,000人」前後としたので、実際よりも16％多めに見積もってしまいました。この誤差の原因は、仮定条件とした「真の感染者が倍増している」の「倍増」が不正確だったことによります。

どういうことかというと、実際に真の感染者が増加した程度は「倍近く」だったが2倍には達していなかったと推測できます。また、第2波よりも第3波のほうが陽性率が0.6％程度低下していたのはやはり「検査体制が充実して第2波当時よりも広い対象に検査の“網”をかけられている」ということを反映している可能性が高まりました。

第2波に比べて第3波では、「真の感染者が倍近くになっている」という要素と「検査体制が充実してより広く補足している」という2つの要素から「検査数が倍増している」と理解すべきでしょう。

◆ 新規陽性者数はピークアウトの可能性が高い

11月30日時点におけるPCR検査陽性者数は146,760人でした。

新規陽性者数（7日移動平均）は、11月21日の2,086人をピークとして、一気に横ばいに移行しました（グラフ2参照）。これはグラフ1における停滞の動きと合わせて、「第3波は既にピークアウトした」と考えるのが合理的です。現時点では、市中に存在する「真の感染者」の数は減少している可能性があります。ただし、この高水準で横ばいに遷移したり、間隔をおかずに再騰して“第4波”が始まることも十分有り得ます。

f:id:johokensho:20201202121136p:plain

f:id:johokensho:20201202121157p:plain

数少ない事例を基に、過去から帰納するならば、“第4波”は1月から2月にかけてのどこかで発生する可能性が高く、その時の山は一層高くなることを覚悟しておくべきでしょう。（急ぎ開発されたワクチンが急速に普及した場合には違う姿になるでしょう。）

11月21日以来、分科会、政府、各自治体によって「Go To キャンペーン」が見直されております。それがメディアでも盛んに取り上げられた結果、他の「強い対策」と合わせて国民の行動変容を促した印象があります。

今後出てくると思われる各種データを分析しないと断定はできませんが、第3波の新規陽性者の発生は、12月5日頃（＝11月21日の2週間後）までには、一旦収束期に入っていることが確認できるでしょう。

◆ 重症者数は第1波越え

30日（月）現在の重症者数は472人となり、第1波ピークの328人（5月1日）を超えました（グラフ3参照）。

f:id:johokensho:20201202121222p:plain

第1波の際には、新規陽性者数の移動平均でピークとなった日から19日後に重症者数がピークを打ちました。第2波のそれは18日後でした。これを第3波に適用すると、新規ピーク日である11月21日の18日後は12月9日となります。その頃重症者数は550人前後になる可能性があります。

このような計算の通りにならないことを祈ります。

◆ 死亡者数も増加中

30日（月）現在、死亡者数は累計2,119人となりました。（クルーズ船を除く。）

死亡者の発生スピード（グラフ4参照）は加速しました。直接の母集団と言える重症者数が500人に達する勢い（30日時点で472人）なので、死亡者数の発生ペースも「1日あたり10人から20人の速度を維持する」と想定すべきでしょう。なお、1日当たりの平均死亡者数は、11月1日から30日の平均では12人ですが、細かく各週に分けると、8人⇒10人⇒14人⇒20人と増加しております。（ただし正確にカレンダー通りの週の区分けではなく、11月3日以降30日までを7日毎の4週間に区切った計算。）

f:id:johokensho:20201202121247p:plain