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【検証:第3波ピークアウトの兆候② 地域】 ~主要地域の新規陽性者数~

11月に入り新型コロナウイルス(COVID-19)の国内新規陽性者数が増加し“第3波”として報道が続いておりますが、「確認日ベースでの新規陽性者数は、ピークを形成しつつある」ということを前稿で確認し、「全体と同時に地域ごとの流行の拡大・収束傾向を分析することも必要である」旨指摘しました。
本稿では、この地域ごとの状況について検証して行きます。
  
 
◆ 11月に新規陽性者が多かった都道府県
 
11月1日から27日までの期間、日本の新規陽性者は39,099人発生しました。その上位都道府県は、東京都、大阪府、北海道であり、他にも神奈川県や愛知県で多く発生しております(グラフ1参照)。上位3地域(東京都・大阪府・北海道)で50%以上を占めます。

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◆ 上位3地域の新規陽性者数推移
 
この3地域の新規陽性者数推移を10月1日からまとめたのがグラフ2から4となります。いずれも土曜日は青、日曜日は赤の棒グラフとしております。
 

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週毎の推移を追うと、北海道と大阪府は、土曜日は伸びていますが日曜日はピークアウトの兆しが出ております。
東京に関しては、土曜日も日曜日もまだピークは迎えておりませんが、伸びは鈍化しており、「ピークを打ちそうな兆し」は見えております。
 
これらを総合すると、「大阪府と北海道では既にピークアウトした可能性が高く、東京都は11月末~12月第2週のどこかでピークアウトする可能性が高い」と考えます。新規陽性者の絶対数では大阪府と北海道の合計の方が東京都よりも多いので、これらの地域的な「減少要因」と「増加要因」を合算すると、「新規陽性者数は一旦ピークアウト」という先週の動きになったと考えます。
  
 
◆ まとめ
 
  1. 11月は、東京都・大阪府・北海道の陽性者数合計が日本全体の過半数を占めていた
  2. 東京都はピークアウトの兆し、大阪府と北海道はピークアウトの信号が出ている
  3. 主要地域の状況を総合すると、日本全体は一旦ピークアウトした可能性がある
 
「新規陽性者数が停滞し、重症者数が急増し始める」という傾向は、その“流行の波”が成熟してきたことを象徴していると考えますが、波と波の間の長さは誰にも分りません。冬の寒さが本格化する中で予防策を怠れば、すぐに次の波がやってくる可能性も十分あります。大切なのは、引き続き油断せず、マスクや換気などの基本的な予防対策を徹底することだと考えます。
 
 
(おわり)
  
(参照)
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【文責:田村和広】

 


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