デマ情報を招いた政府広報の不備
3月末からネット上で「感染者の3分の1は外国籍」と示すグラフが飛び交った。間違いであることがバズフィードの検証記事で明らかにされた。
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/unknown-cause-china-21
これは、間違い情報を発信した人たち以上に、厚生労働省の公表資料の文面に問題がある。
厚生労働省が毎日公表する感染者数データの資料では、4月1日発表分まで、以下のように記載されていた。
「※1 うち日本国籍の者1088人(これ以外に国籍確認中の者がいる)」
「国籍確認中」には、日本国籍か外国籍か不明な人が多く含まれていた。自治体により国籍を全く公表していないところもあるためだ。
だが、この書き方では、「日本国籍」の人数は確定と誤解されてもおかしくない。
もう一言、正確に記載しておけば、防げたはずの誤解だ。
(なお、4月2日発表分からは記載方法が改善された。
「※1 うち日本国籍の者1286人、外国籍の者29人(他は国籍確認中)」
)
この件に限らず、政府の発表文書は、しばしば言葉足らずだ。
政府の発表は多くの場合、記者クラブの記者や関係業界向けだ。記者たちならば、行政特有の用語にも通じ、不明点があれば確認に来てくれる。
だが、一般向けの広報ではそうはいかない。緊急時に思わぬ誤解が生じることは避けないといけない。
厚労省の現場が必死の取組を続けていることに心から敬意を表したうえで、広報にはプロの力を少し借りたらよいと思う。
(文責:原 英史)