情報検証研究所のブログ

オンラインサロン「ファクトチェック機関「情報検証研究所」」の活動や検証報告を公開します。

「情報検証研究所」について

1、背景

いわゆるフェイクニュース、ないし誤情報の拡散が問題になっています。

 

1)問題は古くからあります。個人・企業・地域などに甚大な被害が生じた事案も少なくありません。

〇「所沢ダイオキシン報道」(1999年)では、テレビニュースで、所沢産の野菜のダイオキシン濃度が異常に高いとの誤解を招く報道(茶葉の濃度を野菜の濃度のように伝えた)。翌日から埼玉県産野菜の取引停止・価格下落。半月ほど後に番組内で謝罪がなされたが、3億円とも試算される風評被害。訴訟で争われ、2004年に1000万円支払いで和解成立。

〇「0-157かいわれ大根」(1996年)では、厚生労働大臣の会見で、かいわれが食中毒の原因との認識が広がり、出荷量は例年の3割に、20億円超と試算される風評被害。複数の訴訟で争われ、いずれも国の敗訴確定(公表方法に問題があったとの認定)。

(その他事案は別紙参照)

 

2)近年では、インターネット・SNSの普及により、従来以上に誤情報の拡散が生じやすくなっています。被害の生じるおそれも高まっています。

〇増幅の要因として、インターネットでは、リアルの世界以上に分極化が生じやすいことなどが指摘されます(例えばキャス・サンスティーンによる分析など)。

〇「ツイッター上では、誤情報は正しい情報の1.7倍リツイートされ、より速く広く伝わる」などの実証研究例もあります。また、インターネット上では訂正も早期になされる一方、反論が逆効果につながるケース(当初の思い込みが訂正されず、さらに拡散されるなど)も指摘されます。

現に、新型コロナ関連でも多くの誤情報が飛び交い、世界で「インフォデミック」とも呼ばれる状況です。

 

3)政治に関わる誤情報も生じています。こうした事案では、被害は相手候補などにとどまらず、民主主義の機能そのものが毀損されています。

 〇国外で大きな問題になった例として、ケンブリッジ・アナリティカ疑惑(2016年)など。

 

4)こうした中、世界各国では、事実の検証を行うファクトチェック機関の活動が活発化しています。

〇世界のファクトチェック機関一覧(Duke Reporters’ Lab )
 https://reporterslab.org/fact-checking/

一方、日本では、こうした活動が乏しく、マスコミによるネット情報や政治家発言などのチェックが中心です。

 

2、「情報検証研究所」について

1)目的

「情報検証研究所」は、誤情報の拡散・被害への対処を目的として創設します。あわせて、正しい情報の伝達を通じ、民主主義の機能を支えることを目指します。

マスコミや政府・政治家なども、誤情報の発信や拡散を担うことがあります。このため、マスコミ、政府・政党、その他特定企業から独立し、いかなる圧力も受けることなく活動します。政治的立場に基づく意見表明などとは一線を画し、あくまで事実に基づく検証と対処を行います。

 

2)活動

個別事案への対処(事実を検証し、誤情報拡散を早期鎮火): マスコミ報道、政府発表・国会論戦、ネット上の情報などで誤情報が発信され、被害のおそれが生じた際、緊急に事実を検証し、早期鎮火・被害回復を支援

※被害回復のため、訴訟のなされた事例はこれまでもありますが、一般に時間と費用を要し、得られる賠償額等は限定的。早期鎮火と実質的な被害回復の機能が必要です。

誤情報の生成・拡散メカニズムの分析、対処手法の開発・改良

―防止のための政策提言、検証活動を担う人材育成 など

 

3)運営

―事務局: NPO法人万年野党×慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(岸博幸研究室)、の共同運営

―サポーター: 政治・経済・メディアなどの専門家が助言・支援(次項)

―財源: 協賛会員(オンラインサロン会員)の会費で運営し、特定企業などからの大口助成は一切受けません。

※オンラインサロンへの入会はこちら: https://lounge.dmm.com/detail/2366/

 

4)サポーター

磯山友幸  経済ジャーナリスト

上山信一  慶應義塾大学総合政策学部教授

須田慎一郎 ジャーナリスト

髙橋洋一  嘉悦大学教授

冨山和彦  株式会社経営共創基盤代表取締役CEO

新田哲史  アゴラ編集長

ロバート・フェルドマン  東京理科大技術経営専攻教授

横江公美  東洋大学教授

 

上記サポーターは、当研究所の活動趣旨に賛同いただいた方々であり、個別の検証活動に参加しているわけではありません。そのため、個別の検証記事について責任を負うものではありません。

 

 

 

<参考>誤情報による被害事案

(過去の有名な事案および最近の事案から)

 

事例

発信源

伝播ルート

被害

「トイレットペーパー騒動」(1973年)

一般個人

口コミ

マスコミ

社会全般

豊川信用金庫事件」(1973年)

一般個人

口コミ

特定企業

「札幌病院長自殺事件」(1985年)

国会議員

国会質疑

特定個人

(自殺)

「松本サリン報道冤罪」(1994年)

警察

マスコミ

特定個人

「0-157かいわれ大根」(1996年)

政府

政府発表

マスコミ

特定業種

(20億超)

「所沢ダイオキシン報道」(1999年)

マスコミ

特定地域・業種(3億)

ケンブリッジアナリティカ疑惑」(2016年)

政治勢力等?

SNS

相手候補

社会全般

「あおり運転デマツイート」(2019年)

一般個人

SNS

特定個人

「国家戦略特区委員報道」(2019年)

マスコミ

国会質疑

特定個人

「コロナ/トイレットペーパー騒動」(2020年)

一般個人

SNS

マスコミ

社会全般

「コロナ/クルーズ船乗船デマ」(2020年)

一般個人

SNS

特定企業

「コロナ/キッチン用エタノール効用報道」(2020年)

マスコミ

特定企業

 


 ▼ご案内▼

「情報検証研究所」の発足は4月30日ですが、それ以前は、「情報検証研究所β版」として試行的に検証を行っていました。当ブログでは、その間の検証記事ももそのまま掲載しています。

また、個別の検証記事はそれぞれの記事に記載する執筆者の責任で掲載しています。

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