情報検証研究所のブログ

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感染者数「5月に150万人超え」? フェイク予測をばらまいてはいけない

現代ビジネスの4月20日付記事『衝撃予測!日本のコロナ感染「5月に150万人超え」「あと3年は続く」』(奥野修司)は、タイトルからして衝撃的だ。感染者数1.1万人(4月20日)から、わずか一か月ほどで150万人に急増するというのだから、尋常ではない。記事本文では、以下のように根拠が示される。

「4月10日から13日の国内平均の倍加時間は6.3~6.9日で、仮に6日とすれば、5月末の時点で感染者数は150万人を越える(倍加時間7日なら79万人と大幅に減る)。」

 

gendai.ismedia.jp

 

結論からいうと、この予測はあまりに合理性を欠くのでないか。

第一に、予測は、一定速度の倍加(指数関数的拡大)が4月20日から5月末まで更に40日続くことを前提としている。これまで主要国での感染拡大状況を見る限り、指数関数的拡大が40日持続した例は見当たらない。

 

www.ft.com

 

第二に、より重大な疑義があるのは、倍加時間を「6日」と仮定している点だ。これまでの倍加時間の推移をみると、4月10日の6.3日が最小値。その後、倍加時間は増加基調に転じ、18日には9.8日になっている。

 

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この記事は20日公開だから、筆者の奥野氏は、この推移を認識しつつ、意図的に最小値「6日」を用いたのでないか。もしそうならば、データ偽装である。

 

一定速度以上の倍加がこの先40日続くこと、倍加時間が6日に戻ることにつき、もし合理的な根拠があるならば、再反論を歓迎する。

そうでなければ、あまりに合理性を欠くフェイク予測をばらまくべきではない。社会に有害な情報発信になりかねない。

 

【文責:原英史、データ分析:田村和広】

 

 

 

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