情報検証研究所のブログ

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【検証アップデート:日本のCOVID-19流行状況】 ~日本の重症者数と新規陽性者数推移~

 

約一ヶ月ぶりとなりますが、重症者数の推移データのグラフを提出します(グラフ1参照)。
(※ この投稿記事自体はフェイクニュースの検証ではありません。今後の各種報道内容を吟味することに貢献できればと思い投稿します。)

 

◆ 規模はやや小さいが長引きそうな傾き

 

夏の流行もピークを通過したことが確認できますが、春とはやや異なるトレンドを描いております(グラフ1参照)。

 

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“第二波”のピーク(259人)は第一波(328人)の約80%程度となりましたが、その後の収束が前回よりもなだらか(右下がりの傾きが緩やか)な点が気になります。高止まりが続けば、死亡者数が増えるからです。

 

◆ 新規陽性者数のトレンドも要注意

一方、新規陽性者の絶対数について、3・4月と7・8月をそのまま比較することには殆ど意義がありません。それぞれの期間における検査方針や検査数等は大きく異なるため、データの連続性が保たれていないからです。あくまで参考のために新規陽性者数の推移グラフ(7日移動平均)も提出します(3・4月:グラフ2、7・8月:グラフ3参照)。

 

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“第二波”(グラフ3)においては、9月7日を境に新規陽性者数は横ばいに移行し、トレンド変化の兆しを見せており要注意です。

なお、重症者数の推移は新規陽性者数よりは連続性があると考えておりますが、COVID-19の知見の蓄積や気温の違いなど、他条件が一致している訳ではありません。そのため、影響度合いの算定は今後の課題ですが、大きな影響が確認できた場合には重症者数もまた、2期間を比較する意義が減少する可能性も十分あります。

 

 

第一波のピークから“第二波”のピークまでの間隔はおよそ4か月間でした。第n波から第n+1波までの周期を4か月と仮定するならば、帰納的に考えて“第三波”は12月から来年1月となります。ただし仮定の蓋然性が不明なので、これは単なる想像に過ぎません。次の波は来ない可能性さえあります。
あくまでも思考の訓練として、12月から1月に再び重症者のピークがやってくると仮定すると、それはインフルエンザの流行時期と重なります。(COVID-19感染予防活動の副産物として、インフルエンザの流行が抑制される可能性もあります。)
三密の回避など、COVID-19で獲得した感染予防習慣はインフルエンザの流行にも有効な可能性があります。インフルエンザはCOVID-19と異なり、乳幼児や若年層にとっても注意が必要な感染症です。二つの感染症に有効ということであれば、予防策(マスク・手洗い)の重要性は一層増加します。これからも徹底を心掛けたいと思います。

(おわり)

(参照サイト)
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厚生労働省ウェブサイト「報道発表資料」:

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/index.html

 

 

【文責:田村和広】

 


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