情報検証研究所のブログ

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【検証:新型コロナの逆コース】 ~ 中国⇒欧州⇒中東⇒南亜⇒? 反射波の到来か ~

 2019年末に中国で確認され3月に欧州、4月から6月に南北アメリカ諸国に感染が広がっていったCOVID-19ですが、5月から6月にかけて一旦は「先進諸国」でのピークを迎えました。そのため、感染爆発の回避に成功し緊急事態宣言も解除された日本では急速に安堵の空気が拡がっています。新型コロナウイルスは南米を中心に相変わらず猛威を振るっていますが、どことなく日本ではもう「他所の国」の出来事感が強く、関心を持ちにくい状況です。

 

◆感染が近づいてきた

 ところで欧州からの反射波でしょうか、グラフ1にある通り、実は今南アジアで感染が静かに拡大しております。しかし日本では余り報道されておりません。確かに日本は海に囲まれているため陸路密かに侵入するということはありませんが、すぐ近くに迫っている状況には注意が必要だと考えます。

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◆再拡大中の諸国の実効再生産数

 感染再拡大がいつ頃始まったかを確認するために、中東から南アジアの国々について、5月30日までのR(t)(実効再生産数)を計算しました(グラフ2)。南アジアでR(t)が1を越え始めています。中東の感染は一旦収束傾向に入り始めておりますが、南アジアでは5月下旬に感染の再拡大が始まっていることが確認できます。
 中国発の感染が3月~4月に欧州に達しアメリカ大陸に伝達する一方、5月に入って中東、5月~6月に南アジアで再度感染拡大の状況が起きておりました。

 

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◆諸仮説に反する現実の兆候

「アジア人は感染しにくい“遺伝子”を持つ」、「実は類似かつ別のコロナウイルスがアジアでは既に局地的に蔓延していてアジアの人々には既に免疫がある」、「BCGが」といった諸仮説はありますが、グラフ1の通り実際にアジア諸国でも遅れて感染拡大の兆しが見えて来ました。このまま南アジアから東南アジア、東アジア諸国に伝播するのかどうか、今後の状況の推移には注意が必要です。もちろん、感染が伝播しないことを祈っております。

 

◆入国制限緩和と周辺状況の観察

 感染から発症までタイムラグがあるこの感染症は、気が付いた時には感染拡大期に入っていることが多いので、入国制限が緩和されて行くことが確実な今後は、入国者の出発地における感染状況への一層の注意と(検疫強化などの)対策が必要だと考えます。

 

【文責:田村和広】

 

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