【検証：感染状況について】　～感染終息？再拡大？明暗分かれる世界の状況～

「感染は終息する」または「再拡大する」という様々な説が主張されておりますが、私にはどうも納得感の低いものが増えている印象があります。主張の根拠とする事実も部分的だったり刹那的だったりして、信用していいのかどうか悩みます。そこで現在進行中のCOVID-19パンデミックについて、7月31日現在の状況（の一部）を整理したいと思います。
　　
◆ 欧州（大陸）の五か国、7月感染者数推移（グラフ1）

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日本だけでなく、移動制限的措置を解除した一部の国では、7月に入り感染者数が再拡大する兆しが出ております。「感染者数」として開示される数値の各国の定義の違いや検査精度の向上など、本当に比較可能な条件の同一性が担保されているのか大変怪しいところなのですが、数値を整理してグラフにしました。
7月に入り、相対的には穏やかな対応を続けてきたスウェーデンが沈静化傾向を示すのとは対照的に、スペインは1か月間で5.9倍、フランスは1.8倍になるなど、厳格な規制で第一波を鎮圧した国々で感染者（陽性確認者）数が再び増加傾向を見せております（いち早く感染が拡大したイタリアは横ばいで推移）。なお、一部の国は開示情報の更新頻度が不安定でノイズが激しく傾向が見にくいので、7日移動平均でグラフ化しました。（前3日後3日の計7日）
　

◆ 新規死亡者数上位3国の推移（グラフ2）
　

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「感染状況を『感染者数』で推測することに意味があるのか？」私は最近疑問に感じております。なぜかというと、定義も検査精度も国ごとに、又は時の経過とともに大きく変わるからです。そのため「7月中の動き」など短期的な勢いの把握は別として、時系列的に3・4月と7月を比較することの意味は殆どないと考えます。
本来「超過死亡」をなるべく世界一律の考え方で計測して頂ければ一番良いのですが、すぐに出揃うことを期待するのはちょっと難しいでしょう。そこで、COVID-19の死亡者数ならば「まだまし」なのではないかと考えました。7月末現在、１日当たりの死亡者数が多い国から上位三か国を選びグラフに整理しました。やはり７日移動平均ですが、それでも日々の変動が大きく、どうも不自然さは残ります。
とはいえある程度は参考になるので眺めますと、アメリカが6月下旬頃に一度沈静化し始めたのが7月に入って再び増加に反転しました。ピークの４月に比べれば未だ半分程度ですがアメリカの東側から西側へ感染が移動し、しかも国内が騒然としていることも一因なのでしょうか。日々約1,000人で安定しているブラジルを抜いて再び世界一になっております。
また、インドが上昇傾向にあり、人口の多さ（13億人超）、特に貧困層の状態を考えると未だ伸びる可能性が十分ありそうです。

◆ 累計感染者17,257,269人、死亡者672,889人（世界。7月末時点）
　
7月が終わり、パンデミック（世界的流行）が実質的にスタートしてからおよそ半年が経過しました。厚生労働省の報道発表資料によれば、7月末時点における世界の死亡者は67万人に達しました。依然として日々3,000人ペースで増加しております。しかし新規死亡者数の増減に関する推移でみれば、全体としては穏やかに終息に向かっているようにも見えます。一方アメリカでは再度増加の兆しがあり、人口の多いインドでも緩やかに増加傾向を示しております。このまま終息するのか、増加に転じるのかはまだわかりません。
仮に現在のペースが3ヶ月続けば、世界全体の死亡者数は約90万人に達し、年末には100万人を突破する可能性も出て参りました。全く仮定の話ですが世界全体で100万人に達した場合、感染症流行の歴史に残るパンデミックの一つになるでしょう。
いずれにしても、日本においては手洗いやマスクなど、まずは自分が感染しないこと、そして感染してしまっても無自覚なまま感染を広げないことが大切でしょう。
　
（おわり）
　
（グラフ作成には以下のサイトからのデータを活用した。）
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新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について（令和２年７月31日版）