情報検証研究所のブログ

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【提案:風評対策“Go fishing in Fukushima”の創設を】

いよいよ、福島原発に貯蔵している処理水を海洋放出する時期が来たようです。
 
NHKでは、「来週(筆者注:4月11日(日)~17日(土))にも海への放出を決定する方向」という具体的な時期まで報じているので、放出が決定される可能性も高いのでしょう。
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法について、政府は来週にも海への放出を決定する方向で調整しており、風評被害対策に万全を期すほか安全性などの情報発信を強化する方針です。”(NHK ニュース4月8日より引用、太字は筆者)
福島第一原発 処理水 来週にも海への放出決定で調整 政府 | 福島第一原発 | NHKニュース

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210408/k10012962091000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004&fbclid=IwAR38Xl9mqtfTuDjIKBnRd_bEf3yTN1-duTobsSSENIFkKgmZRrnPJgC9Z7k

 

 
言うまでもなく、この情報検証研究所のサロンには、原さんを筆頭に政府や世論に影響を与え得る方々が多数関与(閲覧)しています。そこで本稿では、「風評被害対策に万全を期す」という観点で、是非とも政府や監督官庁の方々に一つのアイデアとしてご検討頂きたい提案を致します。神奈川県在住の一個人目線での提言に過ぎませんので、大局観はありません。
 
◆福島の釣り(遊漁船)振興策“Go fishing in Fukushima”
「Go Toトラベル」のような産業促進策を、福島から茨城にかけての漁港で遊漁船等利用の釣行に対して設定しては如何でしょうか。具体的には次の3点です。
 
振興策1:「釣行補助金
振興策2:「管理釣り場創設」
振興策3:「情報発信強化」(地上波テレビ番組・ウェブサイト情報配信)
 
◆ 振興策1:「釣行補助金
福島県周辺の漁場は水揚げを制限していることから、「魚影が濃く(≒たくさん釣れる)、型が良い(≒大きい)」と聞きます。「ビール瓶アイナメ」「座布団ヒラメ」などと(煽りであっても)聞かされてしまうと居ても立っても居られなくなります。本当に魅力的な釣り場です。
そして、自分で釣って、生きているうちに血抜き等下処理をした魚は格別に旨いものです。一度でも釣行すれば福島が「どこかの遠い他所の地」ではなくなるでしょう。
もちろん、念のために検査をしたいという人には自分が取った魚介類の検査ができるような体制も整えることは前提です。
 
[ 釣行の課題 ]
釣り好きな人間としては是非とも通いたいところなのですが、問題は釣行コストです。
横浜市内から例えば小名浜港に自家用車で行こうとすれば、往復約450km、高速道路料金(ETC)約12,000円、ガソリン代約7,000円となり直接的な交通費だけで約19,000円かかります。日帰りは厳しいので前泊して遊漁船で釣りをすれば、一人20,000円前後はかかりますので、合計で約40,000円は最低でも消費します。(そのうち福島の現地に落とすのは半分です。)
これは、居住地近郊の例えば三浦半島で釣りをする場合に比べて費用は2倍~3倍かかります。もちろん釣れる魚の種類・型(おおきさ)・数が違うので単純比較はできませんが。
 
そこで、出発地点と利用地点に応じた交通費と釣り宿や遊漁船の費用を全額補助(上限回数は設定)するというのは如何でしょうか。
 
[ 想定予算 ]
「一人平均4万円、年間10万人利用」と仮定しても年間40億円に過ぎません。風評被害対策としては十分可能な金額ではないでしょうか。
 
◆ 振興策2:「管理釣り場創設」
一般の人にとって、遊漁船には「船酔い」という極めて高いハードルが存在します。そのため興味はあっても乗船できない人も少なくありません。しかし船に乗らない(堤防や砂浜などでの)釣りは、釣果があまり期待できません。殆ど釣れない経験を連続ですると、釣りに興味をなくす人も多いでしょう。
そこで、時限的な運営として、管理釣り場を創設して船に乗れない層にも福島の釣りを体験してもらいます。これは正直なところ、黒字運営は厳しいので設備の運営には補助が必要でしょう。
 
[ 想定予算 ]
これは運営の仕方で全く様子が異なるので計算しておりません。利益がでないことは確実なので、恒久施設の新設は無謀です。運営を休止している原発の前の堤防などを利用して巨大な生簀とし、周辺で漁業者が漁獲した魚を買い取り、定期的に生簀に補充するような仕組みが想定されます。その場合、費用は生簀化以外には運営コストかかりますが、やり方次第では上述の釣行補助金ほどはかからないでしょう。
 
 
◆ 振興策3:「情報発信強化」(地上波テレビ番組・ウェブサイト情報配信)
今現在、地上波の釣り番組は少なくなりました。しかし少しだけではありますが、釣り餌メーカーなどの自助努力で存在します。
この分野にてこ入れして福島遊漁船等特集番組を数年程度放送し、あるいは既存の「高田純次のじゅん散歩」のような人気旅番組に依頼するなどして、改めて福島の遊漁船、漁業、管理釣り場に焦点をあてた放送を促進します。
 
また、従来利用していない人にとって、そもそも福島で釣りをするには「どこに行って何をすればいいのか」見当もつきません。そこで、その案内となるウェブサイトでの情報発信を充実させることも必要でしょう。
 
 
◆ 各施策の効果
これは仮定の話ですが、福島県産の旨い魚介類を首都圏や関西圏に在住の釣り人が持ち帰り各家庭で消費した場合、日頃利用するスーパーで福島県産の魚介類に対する忌避感は低減できるのではないでしょうか。
また、福島の事業者としても操業しつつ実際の漁獲物に対する実証検査にもなり、単に補償金を受け取ることとは全く異質の充実感を得られるのではないでしょうか。
 
 
◆ むすび
上記の施策は、釣り人の私にとっては完全に「我田引水」な話であり、人としてはとても恥ずかしいことです。しかし、感染症の思わぬ副作用で釣りが秘かなブームになったようであり、興味を持つ方も潜在的には多いと考えます。
稲作における減反政策のような「仕事をしないことに対する補償金」は、寧ろその産業を衰退させる悪手であることがわかっております。将来的に福島の漁業が発展することを支援するためには「操業することを支援する施策」が重要です。
その観点から発想したのがこのプランです。もちろん、政策立案の実情を知らない一般人の考えに過ぎず、検討にも値せずに全て却下される可能性の方が圧倒的に高いと想定しております。
それでも「風評被害対策」を検討する上で具体的なプランニングの際に議論のスタート地点にでもなればと考え提案致しました。
 
私は海洋放出が始まったならば、一度は釣行し、その検証もしてみたいと思います。時期次第ですが、例えば春告魚(メバル)は釣味も食味も最高です。
 
(おわり)
 
 
(参考サイト) 

https://cho-raku.jp/boathouses/detail/1076

 

【文責:田村和広】
 
 

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