情報検証研究所のブログ

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【総理「失礼じゃないでしょうか」、実相は如何に】 ~言い方は失礼だが追求内容は価値あり~

◆ 希代のBoomeranger蓮舫議員
「どの口が言うのか」という議員は数多いですが、中でも蓮舫議員の放つ「ブーメラン」はひと際大きく、切れ味鋭く、高い命中精度で自らに刺さっています。しかし刺さったことに不感症なのか、表情や行動が変化することは全くなく、心の装甲の分厚さも万全な「日本一のブーメラン遣い」と言えるでしょう。
 
◆ 総理が「失礼」と言ったから
実はテレビで蓮舫議員の声が聞こえるとチャンネルを変えるほど苦手な人ですが、今回は我慢して27日開催の参議院予算委員会の中継アーカイブを視聴しました。

参議院インターネット審議中継

当該問答は添付したアーカイブ映像の5時間45分30秒以降に始まりますが、確かに言い方に問題を感じました。そもそも、蓮舫議員の質問は4時間48分頃から始まりますが、甲高い叱責口調で延々と約1時間にわたり神経質に非難がましい口調で詰問しているシーンが続きます。これを見ることは私にとっては拷問でしかなく、総理も人ですから、これはモラルハラスメントに近いでしょう。(個人的印象)
今回の蓮舫議員の「詰め」は、確かに失礼です。あれでは菅総理でも「失礼ではないか」と発言してしまうのも無理はありません。(ただし、感情の見えにくい菅総理からむき出しの心情を吐露させた功績はあるとも感じました。)
 
◆ 肝心の内容はみるべきものもある
ところが、言っている内容自体は、行政を監視し対峙する議員としては妥当と感じる指摘もありました。春や夏の流行が収まってからの「不作為」とも感じる点について適切な指摘をしていたりします。これは意外でしたが、面白おかしく立憲民主党や所属議員を描写する話ばかりに耳を傾けていた自分は、大いに反省しました。自分自身もまた、エコーチェンバーの住人でもある証拠だと考えます。
 
◆ 過ぎたる”芝居”は猶及ばざるが如し
とはいえ、政府を追及する側の諸氏は、ちょっとカメラを意識しすぎて逆に損している気がします。同じ野党側でも、国民民主党の玉木代表の姿勢の方が、相手の耳にも確かに届き、結果として野党ながら与党も動かし与野党共闘の成果を出してきていることと対照的です。「過ぎたる”芝居”は猶及ばざるが如し」とでもいいましょうか。
これは非科学的な話ですが、蓮舫議員もあんなに他人を論難し続けていると、自分のメンタルが「阿修羅(怖いけど神)」から「鬼(醜悪な形相と怪力で危害を与える怪物)」に堕して体調を崩しかねないと思います。内的世界では不幸なのではないかと心配します。
 
◆ 「失礼ではないか」と言えば「腹切り問答」
 
「失礼ではないか」の問答から連想するのは、昭和12年帝国議会でなされた次のようなやり取りです。
 
代議士浜田国松:「軍人は政治に関わってはならないはずである。軍という立場で政治を行うところに危険がある」
寺内寿一陸軍大臣:(顔を紅潮させ)「浜田議員の質問は軍を侮辱するものではないか」
浜田国松:「速記録を調べて僕が軍隊を侮辱した言葉があったら割腹して君に謝する。なかったら君が割腹せよ」
 
現代日本においては切腹を求めることは有り得ませんが、あそこまで延々と詰問するならば、蓮舫議員はそれくらいの覚悟をもっていると思いたいです。しかし首相からの「失礼」という指摘に続く応酬は全く腰砕けで、用意した質問ストーリーに戻るだけの残念なものでした。
 
◆ 人と人との公論なので礼儀も大切
国会論戦ですから、主張の内容が大切なのであって、言い方や礼儀は無価値であることは確かです。
しかしながら、従来からの日本の文化では、礼儀に関しても一定の配慮はありましたし、それを欧化した価値観から捨て去ってしまっていいとも私は感じません。人間は思う程合理的ではなく、むしろ感情に従って行動することも多いものです。その観点から、「人が人を動かす場の頂点」である国会においても、相手を敬う気持ちも忘れないで議論を戦わせて頂きたいと考えます。
 
(おわり)
 

【文責:田村和広】

 


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