情報検証研究所のブログ

オンラインサロン「ファクトチェック機関「情報検証研究所」」の活動や検証報告を公開します。

【日本社会の文化的な課題】   ~白井聡氏の言説と白井氏への人格攻撃は同次元~

今、話題の人になりつつある白井聡氏ですが、SNS上における松任谷由実氏に対する心無い論評が多くの人の反感を呼び、白井氏も個人攻撃の対象になり始めました。中には橋下徹氏のような影響力の大きな著名人による「勤務先大学に暗に解雇を促す」かのような言動もありました。
橋下徹氏(51)も9月1日、《京都精華大学は、さすがにこんな教授を雇い続けるのはまずいだろ》とTwitterで苦言を呈した。(YAHOO!JAPANニュース 女性自身「大学側にも非難殺到…安倍政権批判する講師がユーミンに暴言」より ※1)”
 
 
◆ 問題化した白井聡氏の言説
 
特に波紋を呼んだ白井氏の言説は次のような経緯で発出されました。
“泣いちゃった。切なくて” (8月28日辞任表明当日、ラジオ)
白井聡氏:
“「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」(前掲ニュース記事より)”(8月28日夜ツイッター上)
詳しくは、下記の通りです。
松任谷由実(66)は、同日放送の『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)で会見の感想をこう述べた。
「テレビでちょうど見ていて泣いちゃった。切なくて。私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる。同い年だし、ロマンの在り方が同じ。辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりできるかな」
松任谷といえば、安倍首相や妻の昭恵夫人(58)と親交が深いことでも知られている。17年12月と19年3月には、夫妻が松任谷の舞台を鑑賞する姿も報じられていた。(前掲ニュース記事※1より引用”
その後、非難の声が大きくなったことを受けて白井氏は、9月1日当該ツイッターを削除しFacebookに反省の声明文を投稿しました。
 
なお、「夭折」(ヨウセツ)は歴史上の人物や身内に使い、そうでない場合は対象に対する敬意が込められた「夭逝」を使うべきだという指摘もあります。いずれも過去の事例に対して過去形で使用するのが一般的であり、仮定法的用法で存命中の人物に使うのは、礼を失する度合いが際立ちます。
 
 
◆ 白井氏の言説も心無いが過剰な個人攻撃も心無い
 
確かに、白井氏の個人的な言説は自由ですが、それによって戦争相手国の戦闘員でもない人物に対し、この感想を表明することは、全く理解できません。表明された内容も100%、同意できません。言説の内容に対する否定的な評論が発生するのは、言論の自由に附帯する自然の現象でしょう。
しかし、白井氏が表明し続けている個人的な感情のうち、単なる個人への人格攻撃に堕している部分が心無いことと同様に、白井氏の解雇を誘発するような所属大学への非難の集中や白井氏個人の人格を否定する言説もまた心無いものです。
このような感情的に許容できない個人の存在を許さず、その言説を制約するような社会的私刑は、結局日本社会の「同調圧力」と呼ばれる悪しき習慣であり、自由な言論をしようとする人々の気持ち委縮させ、社会を閉塞させる伝統文化の一つだと私は考えます。
解りやすく言い換えると、
「私も白井氏の発言内容は心から不快で残念に感じます。その一方、白井氏がそれを表明する自由を奪うような、安全地帯からの人格への飽和攻撃を行う言動も同じくらい不快で残念に感じます。世間様に気を使って口をつぐむ社会も残念です。変なことを言う人も社会に居てもいいでしょう。」
ということです。(個人的感想)
 
「今より社会的私刑が少なく、法が尊ばれる社会」を次世代に引き継げるように、日本社会の成長と進化、少なくとも真の旧弊からの脱却努力を、私も致します。
  
 
(おわり)
  
(以下引用サイト)
==========
※1 YAHOO!JAPANニュース「大学側にも非難殺到…安倍政権批判する講師がユーミンに暴言」(9月1日女性自身)

news.yahoo.co.jp

 

【文責:田村和広】

 

 


<メンバー募集中!>
どういう議論を元に検証記事が出来あがっているのか?!
”議論の内容を知りたい!”という方、”議論に参加してみたい!”という方は、
ぜひご入会下さい!

lounge.dmm.com