情報検証研究所のブログ

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感染症法「2類相当」の見直しの行方?

マスコミ等では、なぜか現状は「2類相当」との前提で、報道・議論がなされていることが少なくありません。


しかし、実際には、指定政令の二度の改正(2月、3月)を経て、準用される規定は明らかに「1類相当」です。

 

誤解が広がったのは、政府が指定政令改正前に「2類相当」と説明し、その後、「1類相当に変更」と明確に説明してこなかったためでしょう。(参考:国会での説明)

 

誤解はともかく、今後の見直しの可能性は、論理的に以下のいずれかと考えられます。
1)「指定感染症(1類相当)」のまま、運用だけ見直す(感染症法上、入院勧告などはあくまで「できる」とされているだけなので、必ずしも指定政令を変えなくても、運用で適用範囲の限定等は可能)、
2)「指定感染症」として維持したまま、「1類相当」から引き下げる(感染症法上、1~3類相当の範囲で、具体的にどの規定を準用するかは指定政令で柔軟に定められる)、
3)「指定感染症」から「5類」に移行(省令で追加可能)、
(注)なお、「4類」は、動物を介する感染症なので、今回は考えられない。

 

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<参考>国会での説明

 

▼1/28(当初の指定)~2/14改正

・1/31 加藤大
「指定感染症ということで、特に第二類と、こういう位置付けをさせていただいた」
・ 2/4 加藤大
感染症で今二類相当というふうに指定をしておりますが、それを一類相当に上げる、こういう措置、これは十分法律的にはあり得る措置です。」

 

▼2/14改正~
・2/18 加藤大
「中で、あるいは法制局ともいろいろ議論をして、二類相当ではあるけれども、準用規定でこれまでやっていますので、準用の仕方で工夫ができないかということで、認識としては二類相当ではあるけれども、やはり隔離、停留をしていく必要がある。あるいは、無症状病原体保有者について、これは感染法の方でありますけれども、感染法において入院措置を講じる必要がある。そういった判断から、準用の仕方をちょっと工夫をいたしまして、認識としては二類相当ではあるけれども、しかし、今後の感染拡大あるいは水際防止を考えて、やはりこういう手段は持っておくべきだろうということで今回の政令改正をさせていただいた、こういうことであります。」
・ 3/13西村大臣
「指定感染症の指定に関しましては、必ずしも一類感染症相当、二類感染症相当とどちらかに決めて対応しているわけではなくて、指定感染症として指定をした上で、必要となる様々な規定を活用して感染拡大を防止をしているということであります。二類相当のものとしてその措置を使うこともありますし、今回、例えば、一類感染症において実施されている無症状病原体保有者への入院措置とか、これ感染症法十九条ですけれども、あるいは隔離、停留、これは検疫法十五条、十六条ですけれども、これも準用しております。これは一類感染症に対して実施される措置であります。ですので、そういう意味で、必ずしもどちらかと決めているわけではなくて、必要な対策を、一類相当のもの、二類相当のものの措置を使っているということでございます。」
・3/17加藤大
「当初は二類相当ということでやったんですけれども、やっぱりいろいろ課題があるということでもう一回政令改正をさせていただいて、この辺の今バツと、まあ二類相当でいう、二類感染症の欄がありますよね、そこでバツと書いてあるやつをマルにするような形での政令改正をさせていただいて」

 

【文責:原英史】

 


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