情報検証研究所のブログ

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【産経FNN世論調査不正】 ~不正の背景は電話調査の採算性か政治的意図か~

 6月19日に産経新聞社とFNNが自主的に発表した世論調査不正(架空データ混入)について。同業者同士の紳士協定があるのか、理由は解りませんが本件をあまり深堀していません。

www.sankei.com

 読売新聞と朝日新聞は報じていましたが、他の報道機関は大きな反応を示していないようです。読売は事実を淡々と社会面(29面)で報じていました。一方の朝日はデジタルで識者コメント等も引用し、やや非難の論調が印象的でした。
朝日新聞デジタル: https://digital.asahi.com/articles/DA3S14519437.html )

 

◆当該14回の調査について

 朝日新聞の記事によると「世論調査は、内閣支持率や新型コロナをめぐる対策など、政府の対応の評価などを尋ねるもので、毎回全国の18歳以上の男女約1千人が対象。」とのことです。
朝日新聞: https://digital.asahi.com/articles/DA3S14519437.htmlより)


 産経新聞社により、当該記事などが取り消されたため、不正な情報が混入している報道について全体を調べることができませんでした。そのため、「RealPoliticsJapan」と
いう世論調査情報を集計しているサイトから抜粋し、当該期間に行われた14回分とみら
れる調査結果(の一部)についてまとめると添付の一覧表の通りです。

f:id:johokensho:20200622092536j:plain

 

 ただし、「不正データが混入した調査はこの14回」と確認がとれたわけではありません。なぜなら他にも両社合同の世論調査が存在するからです。例えば、次の調査は当該期間中に行われており、もし正確さが損なわれていた場合、(効果は不明ですが)影響を与えた選挙については影響を排除してやり直す、ということができません。


◆ 民主主義をゆがめた可能性も

 2019年7月21日には参議院議員選挙の投開票がありました。この選挙に約2週間先立つ7月8日、調査結果に基づいて2つの記事が配信されたことが確認できます。

“【産経FNN合同調査】参院選有権者の関心は年金4割 憲法改正は4番目”
https://www.sankei.com/politics/news/190708/plt1907080031-n1.html

“【産経FNN合同調査】参院選中盤情勢 改憲勢力「3分の2」割れも”
https://www.sankei.com/smp/politics/news/190708/plt1907080021-s1.html

 影響の大きさは不明ですが、何らかの影響を与えたものと思われます。また、この調査に対して不正データが混入しているかどうかわかりません。しかし、たとえ混入していなくても、疑念を持ってしまうことも事実です。

 

産経新聞とFNNの責任

 事実関係を調査解明し、不正の混入による影響がどれくらいあったかの報告はすべきと考えます。まずは実態調査に全力を尽くして頂きたいと思います。


【文責:田村和広】

 

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