情報検証研究所のブログ

オンラインサロン「ファクトチェック機関「情報検証研究所」」の活動や検証報告を公開します。

【「抗体検査0.6%」の誤導的な報道が多い】 ~献血を利用した抗体検査の目的は精度の検証~

◆ 懸念通りミスリード報道

(注)当初の報道によれば、
・今回の検査はキットの性能評価の調査だったこと、
・検査結果では、それぞれのキットが示した結果が一致しなかったこと、比較のために
行われた去年採血した献血からも2検体の陽性反応があったことなどから、厚労省は陽
性結果の正確な評価はできないとしていること、
も伝えられています。


この検査は、あくまでも検査精度を確かめるための検証という「予備調査」だったはずですが、0.6%という数字だけが独り歩きして、ミスリードな報道が散見されました。

 

◆ 別の調査も偶然同日「0.6%」?
ところで同日、別の主体(新型コロナウイルス抗体検査機利用者協議会)が抗体調査を行い同じ0.6%という数値を出しているようです。とても紛らわしいです。同じ調査なのか別の調査なのかもよくわかりません。(毎日の記事)

mainichi.jp

 

◆ 別の目的で集めた検体ではバイアスの可能性がある
いずれも、調査対象にバイアスがかかっているのかどうかが不明で、現段階ではこれをもとに感染状況について何かを論じたり判断したりはできないものです。
例えば、国の調査は「献血」を利用しておりますが、献血できるのはそもそも健康な人限定であり、当日も医師らによる厳密な口頭問診、体温チェックなどを受けて問題がない人が献血しております。その上、コロナウィルスが入ってきていないと思われる昨年採取の検体も使っており、この比率も不明です。偽陽性偽陰性も不明です。試験精度のみを開示し、0.6%は違う形で告知すべきでした。

 

◆ 厚労大臣による誤導的な情報配信
結果としてこれだけ誤導を誘発してしまったのは、厚生労働大臣のプレゼンテーションがまずかったからだと感じます。誤解をとくために補足説明すべきでしょう。

 

◆ この「0.6%」は試金石
蛇足ですが、この「抗体検査結果0.6%」をどのように使うかで、論者や報道媒体の情報取り扱い姿勢が判るので、試金石の一つだと思いました。

news.tv-asahi.co.jp

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000184090.html?fbclid=IwAR2yn3u8WHXm0Nl7CyzdOmvGB7H5c9qjobo2uIrw2MzegTtsgOhg_tZTxFIhttps://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000184090.html?fbclid=IwAR2yn3u8WHXm0Nl7CyzdOmvGB7H5c9qjobo2uIrw2MzegTtsgOhg_tZTxFI

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000184090.html?fbclid=IwAR2yn3u8WHXm0Nl7CyzdOmvGB7H5c9qjobo2uIrw2MzegTtsgOhg_tZTxFI

【文責:田村和広】

 

<メンバー募集中!>

どういう議論を元に検証記事が出来あがっているのか?!
”議論の内容を知りたい!”という方、”議論に参加してみたい!”という方は、
ぜひご入会下さい!

lounge.dmm.com